もしもの災害に備えて。会社と従業員を守る「防災グッズ」の備蓄を始めよう
公開日:2020.07.06
災害大国と呼ばれている日本。
深刻な津波被害を及ぼした東日本大震災大地震をはじめ、近年では台風や豪雨などによる大規模な被害により、私たちの生活や、企業の経済活動にまで大きな影響を及ぼしました。
こうした自然災害は、まさに“いつ起こってもおかしくない”状況です。企業は従業員や来客者の安全を守るために、そして災害後に事業を迅速に再開するためにも、防災備蓄による十分な対策を実施する必要があります。
「防災備蓄はなぜ重要なのか」「何をどのくらいの備蓄するべきか」などを理解して、災害時に会社や従業員を守れるよう、適切な備えを始めましょう。
企業の防災備蓄はなぜ必要なのか?
企業が防災備蓄を行うにあたり、2つの観点からのアプローチが求められます。
1つ目は「防災と安全の確保」、2つ目は「事業継続」です。従業員を守り、企業活動への損害を最小限に抑えるためには、両方の観点から防災備蓄を実施することが大切です。
■防災と安全の確保
まずは、人命を守ること
大地震などの大規模災害が起きたとき、企業がまず優先しなければならないのが「人命を守ること」です。建物の崩壊や、二次災害で起こりやすい火災などから命を守るためには、保護用具としてヘルメットや、火災避難用の保護用具、救助マットなどが不可欠といえるでしょう。
また、人命が危険にさらされる重大な被害があった場合は、迅速な救援要請だけでなく、従業員の人命救助や手当など、可能な手段を尽くさなければなりません。
帰宅困難者への待機対応にも備蓄が不可欠
地震による大規模災害が起きると、交通機関や道路封鎖などで従業員の帰宅が困難になる可能性があります。災害発生直後には帰宅者が集中し、救援活動の妨げになることも予想されるため、一定期間の間、会社の施設内で従業員を待機させるという対応が適切とされています。
このような状況を想定すると、従業員が数日間安全に待機できるように、日ごろから最低限の飲料水や非常用食料、簡易トイレ、毛布などの生活用品を備えておく必要があります。
■BCP(事業継続計画)対策
事業継続能力を強化し、計画的な復旧作業が可能な体制を整える
これまで発生した大規模地震では、ライフラインや人命への被害だけでなく、経済活動への影響も深刻なものとなりました。企業の多くは、サプライチェーンの途絶や電力・燃料不足などの問題に直面し、事業を中断せざるを得ないケースもありました。
こうした経営危機に対策するためには、「事業拠点や取引先への被害状況の確認」や、「生産設備や仕入れ品などの代替策の用意」「データ損失に備えたバックアップ」など、BCPを社内で共有し、すぐに対応できる体制を整える必要があるでしょう。
そして、こうしたBCPを運用するためにも、バックアップオフィスの確保やシステム・設備の予備等の準備をしておくことが大切です。
企業に防災備蓄を求める条例が施行
まだ記憶に新しい東日本大震災では、地震による建物崩壊などの直接的な被害に加えて、交通機関や道路の機能停止による、さまざまな二次災害が発生しました。
交通麻痺によって帰宅困難者が増加し、救助・救援活動にも影響を及ぼしたことを踏まえて、東京都は全国初となる「東京都帰宅困難者対策条例(※)」を2013年4月に施行。
この条例では、災害時に一斉帰宅の抑制を求めるとともに、事業者に対してもオフィス内で従業員の安全を確保し、当分の間待機できるようにと3日分の食糧等を備蓄することを努力義務としました。
現在は東京都のみならず、大阪府や愛知県、福岡県などの多数の地域が防災に関する条例を定めており、過去の大災害の教訓も踏まえて自社の防災備蓄を見直す企業が増加しています。
企業が備蓄しておくべき防災グッズとは
では実際に、災害に対してどのようなものを備える必要があるのでしょうか?
東京都が発表している「帰宅困難者対策ハンドブック」の内容をもとに、企業が備蓄しておくべき防災グッズと、1日あたりに必要な量についてまとめました。
■重要度の高い備蓄品
備蓄品目の例 | 1人当たりに必要な量(数) | |
水 | ペットボトル入り飲料水 | 1日3リットル |
主食 | アルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺など | 1日3食 |
毛布 | 圧縮毛布、アルミブランケットなど | 1人あたり1枚 |
その他 | 簡易トイレ、衛生用品(トイレットペーパーや生理用品等)、ビニールシート、懐中電灯、携帯ラジオ、乾電池、救急医療薬品(胃腸薬や消毒液、包帯)など | 物資ごとに必要量の算定が必要 |
水や食糧などの消耗品については、従業員の人数に応じて「3日分」の備蓄が定められていますが、災害の影響によって待機が長期化することも考えられます。万が一の事態を想定して、3日以上の備蓄を検討するようにしましょう。
また、これらの備蓄品は生活をするために最低限必要なものといえます。
断水によってトイレが使えなくなると、衛生的な観点からも簡易トイレは不可欠です。停電によってスマートフォンの充電ができなくなれば外部との通信も取れなくなるため、乾電池や充電器なども備えるようにしましょう。
■事業継続のために必要な備蓄品
目的 | 備蓄品目の例 |
復旧作業のため | 非常用発電機、燃料、工具、軍手、ヘルメットなど |
帰宅困難者のため | 携帯用ガスコンロ、調理器具、使い捨て食器等、非常用歯磨きやシャンプー等(水不要のもの)、寝袋など |
移動や荷物の運搬のため | 折りたたみ自転車、地図、荷物運搬用の台車、運動靴など |
大規模な災害発生直後は、企業の建物や従業員の直接的な被害だけでなく、ライフラインのストップなどから大混乱が起こる可能性があります。多くの企業活動がストップし、顧客の流出や、企業評価の低下を招く恐れがあることも想定していなければなりません。
事業を中断せざるを得ない状況となったとき、大切な経営資源や知的財産を守るには、「いかにすばやく事業を再開できるか」が重要といえます。
なかでも企業の中核となる重要業務については、業務上必要な物資・資源を事前に備えておくことで、復旧作業を効率的に実施できるようになります。企業のリスクマネジメントの観点からも、事業継続のための備蓄が不可欠といえるでしょう。
また、高層ビルなどの大きなオフィスについては、エレベーターが停止した場合も想定し、さまざまな場所に備蓄品を保管しておくことも重要です。保管場所や使用手順などは事前に社内で共有し、企業全体の防災意識を高めておきましょう。
防災備蓄を始める前にしておくべきこと
これから防災備蓄を始める企業は、用意しておくべき備蓄品や必要量、保管場所などを定めて、しっかり準備を行うことが大切です。
①備蓄品を配布する対象者や、使用シーンを決める
災害が起きたとき、従業員や来客者など、配布が必要な対象者を明確にすることが重要です。備蓄品の数が足りないなどのトラブルが起きないよう、従業員数や男女比などを把握することから始めましょう。
また、備蓄品を選ぶ際には、どのようなシーンで使うのか事前に想定しておくことも大切です。災害発生時に身を守るヘルメットなどの防災グッズは、各デスクに備えておくのが安心です。毛布やビニールシートなどは、広いスペースを確保できる会議室や休憩室に備えておくのがおすすめです。
②1日あたりの使用量を計算し、備蓄数を決める
備蓄品を配布する対象者や男女比を明確にしたあとは、1人あたりの使用量を計算し、用意するべき防災グッズの数を決めます。水や食糧、簡易トイレなどの消耗品については、最低でも1人3日間分が必要とされていますが、万が一の事態を想定して3日以上備えておくのが望ましいでしょう。
③保管場所を決定する
備蓄品を適切に使用するためには、用途に応じて必要な場所に保管しておく必要があります。消毒液や胃薬などの救急医療品は、救護室として利用できる多目的室、休憩室などに備えておくのが理想です。また、災害中はごみの回収がストップするため、簡易トイレや食料品のゴミなどにより衛生面が懸念されます。ゴミは待機中の部屋と隔離して保管するなど、事前に保管場所を決めておきましょう。
企業と従業員を守る、防災備蓄を始めよう
地震や台風などのよる自然災害は、いつどこで発生するか分かりません。従業員の安全を確保し、企業の経営資産を守るためには、もしもに備えた防災備蓄が不可欠です。
当社が運営している「販促マート.com」では、万が一のときのために企業が常備しておきたい、役立つ防災グッズをご提供しています。従業員のデスクに収納できるコンパクトな防災セットをはじめ、帰宅困難者用のアルミブランケット、簡易トイレなども取り扱いしています。いざという時には備蓄用に利用いただけます。
自然災害対策が重要な課題となっているいま、「災害に強い企業」を目指して防災備蓄を始めましょう。