商標ってどういうもの?専門家のお話を聞けたのでまとめてみた
公開日:2022.06.23
2022年5月、とある動画投稿者によって登録された「商標」が、大きな話題となりました。
それまで自由に使われていた言葉を「商標」として出願し、利用料を徴収する宣言をしたことにより大炎上となった、いわゆる「ゆっくり茶番劇商標登録問題」。
TVのニュース等でも取り上げられましたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
さてこの「商標」ですが、先日懇意にしている特許事務所さんにお邪魔する機会があり、弁理士さんのお話を聞くことが出来ましたので、記事としてまとめてみました。
そもそも商標とは何か
特許庁の商標制度の概要ページに、このように説明されています。
商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。
-中略-
商標登録を受けないまま商標を使用している場合、先に他社が同じような商標の登録を受けていれば、その他社の商標権の侵害にあたる可能性があります。
平たく言うと、自分で考えた商品やサービス名を、勝手に他者が利用できないようにするためのものということですね。
ここまでは皆様もご存知のことかと思います。ではこの商標、登録されていることで一体どこまで効果が及ぶものなのでしょうか。
文字商標は役務によって権利の範囲が決まる
実は弊社、赤木印刷も商標を登録しておりまして、それが「販促マート.com」というサイト名です。
こちらを「標準文字商標」として登録しています。販促マート.comは、ノベルティグッズの販売を行っているサイトなのですが、仮に弊社が関与しない、同じ名前のお店が現れたとします。
そのサイトが、もしノベルティグッズの販売を行っているお店であれば、弊社は商標権の侵害であるとして、使用の差し止めや損害賠償等を請求できます。
その際、インターネット上のお店かどうかは問われません。
しかし、もしノベルティグッズの販売とは一切関係のないサイトである場合は、弊社の商標権を侵害したことにはなりません。
つまり商標登録したときに指定した役務(サービス内容)によって、商標権が及ぶ範囲が決まるわけですね。
極端な例を挙げるなら、販売予定の商品や、楽曲の歌詞やタイトル等に使用したとしても問題ないということです。少し前ですが人気楽曲の歌詞にも、有名ブランド名が入ってましたよね。
商標登録は先願主義
新たに商標を登録する場合、必ずやらないといけないことがあります。
それは、「同一・類似の商標がすでに登録されていないか」を確認することです。
つまり商標は先にとったもの勝ち。例え先に考えたり使いだしたのが自分であっても、他者にそれを登録されてしまうと、同じ商標が出願できないどころか、それそのものを使用できなくなってしまう可能性があります。
先の「ゆっくり茶番劇」が、まさにこれだったわけですね。
普通名称は登録できない
さて、役務の範囲内で名称の権利を独占できる商標権ですが、実はどんな名称でも登録できるわけではありません。
その役務の取引業界において、広く一般的に知られる名称のみの商標は、登録を受けられません。
弊社の場合であれば、取り扱う主力商品は「名入れカレンダー」な訳ですので、「名入れカレンダー」という商標が登録できれば、他社に対して非常に高いアドバンテージとなるわけです。しかしすでに「名入れカレンダー」は業界内において普通名称化している為、登録できないということですね。
「ゆっくり茶番劇」も、業界内では普通名称化していたわけですが、登録時に審査を担当された方がその事実を知らなかった為、すり抜けて登録されてしまったそうです。
文字商標とロゴ商標
ここまで、文字商標の話を中心に見てきたのですが、商標ときいてもうひとつ思い浮かぶものがありますよね。
そう、企業のロゴマークやキャラクター等です。
先ほどご紹介した弊社の「販促マート.com」ですが、J-Platpatで検索するとこのような感じになります。
上にあるのがこれまで説明してきた文字商標、そしてその下にあるのがロゴ商標です。
基本的には役務によって権利の範囲が決まるのは文字商標と同様なのですが、ロゴ商標では見た目も重視される為、たとえ役務が違ったとしても、極端に類似したものを使用することは出来ない可能性が高いそうです。
ということで、今回は商標のお話でしたが、如何でしたでしょうか。
いろいろ説明不足が合ったかと思いますので、ご興味を持たれた方はお近くの弁理士さんにご相談頂ければと思います。