なぜ字が写るの?複写伝票の仕組みと最適な用紙の選び方
公開日:2020.08.28
納品書や飲食店の注文の際に使用される複写伝票。タブレット端末が普及した現在においても、まだまだ多くの場面で使用されています。
しかし、何故書いた文字が下に写るのか、その理由をご存知という方は、ほとんどいないのではないのでしょうか。仕組みや用紙の選び方を知っていれば、より理想に近い伝票を作成することができるかもしれません。
今回は複写の仕組みや、用紙の選び方についてご紹介できればと思います。
複写伝票とは
複写伝票とは、記入した内容をそのまま複写できる伝票を指します。文字を記入すると下の用紙に転記される仕組みで、同じ内容の伝票を複数枚作成できます。
伝票は商品やサービスを介するタイミングで必ず発生し、その地点ごとの確認書類として用いられます。複数の利害関係者が関わる場面において、その記載が同様のものであることは、記録と証拠という意味で非常に重要。そうした場合に、1度記載すれば同じ内容のものが複数枚できる複写伝票が広く使われています。
どのような時に利用される?
複写伝票が使用されるケースは多岐にわたります。社内で使われたり、顧客との取引で使われたり、入出金確認に使われたりと実に様々。特に金銭的なトラブルが発生したときは、責任の所在がどこにあるか特定させる必要があり、その際に複写伝票が活用されます。複写伝票を使用することで、小さなミスや未確認の事項を発見したり、不正を防止できるのです。
より近いシーンでは、飲食店で複写伝票が活躍します。ホール担当のスタッフがお客様からの注文をオーダーし、複写された紙を厨房へと引き継ぎます。こうすることで、注文内容と提供商品にミスがあった場合に、注文の聞き間違えなのか、作り間違えなのか迅速に発見することができ、今後の再発防止につながります。このように伝達だけでなく、責任の所在を明確にするという利点があるのです。
なぜ書いた文字が下に写る?
1枚記載すると、複数枚同じ内容の伝票ができる。一見すると非常に不思議ですよね。その仕組みは発色剤にあります。
複写伝票は、一般的に上用紙と中用紙、下用紙の3層から構成されており、上用紙と中用紙の裏にはそれぞれ発色剤が使用されています。この発色剤をマイクロカプセルといいます。
マイクロカプセルはその名の通り、カプセル状になっています。ボールペンで記入したり、ドットプリンターで印字すると、圧力でカプセルが割れて下の紙に塗布されている顕色剤に反応して発色する構造です。カプセルは特殊な合成樹脂でできており、通常の圧力では破壊されにくく、筆圧や印字圧にのみ反応する仕組みとなります。
複写されない部分があるのはなぜ?
しかし複写伝票に文字を書いても、複写されない部分があります。これは減感印刷という技術が使用されているため。複写伝票の印刷では、基本的に紙全体が複式構造となります。ただ、様々な事情により一部分は複写したくないといったケースがあります。こうした際に、減感インクという無色のインクでその部分を印刷することで、複写させない構造ができるのです。この構造により、納品書などで、3枚目の受領書に金額を写さないといった方法が取れます。
複写伝票の選び方
複写伝票を選ぶ際に重要となるのは、「厚さ・色・発色」です。それぞれ種類が複数あり、用途によって使い分ける必要があります。特に厚さは多くの種類があり、複写の可否にも関わってくるため、慎重に選ぶようにしましょう。ここでは選び方と注意点を紹介します。
①厚さ
複写伝票には、上用紙・中用紙・下用紙の三種類があることは前述の通り。納品書などで使用する場合、3つの厚さはすべて薄いもので統一するのが一般的です。領収証などで使用する場合は、下用紙のみ厚い用紙にします。
なお、下に行けば行くほど筆圧がかからなくなり、写りにくくなります。複写枚数が多くなる場合は、中用紙に薄い紙を使用することが、よりベターといえるでしょう。
②色
用紙にはいくつかの種類があります。基本的には白色の用紙を使用することが多いですが、他に色紙としてアサギ色、ピンク色やクリーム色の3色から選ぶことができます。色を分けることにより自社や取引先との区別が明確にでき、保管する際にも容易になります。
ただし、上用紙・中用紙・下用紙の種類や厚さ、発色の組み合わせによっては選択できない色もあるため、注意が必要です。
③発色
発色で一般的なのはブルー。宅配便などでもよく見るため、多くの方がご存じではないでしょうか。ブルーのほかにもブラックもあり、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。ただし、厚さや色の組み合わせなどにより、できない場合もあるため注意が必要です。
というわけで今回は当社の得意分野のひとつである複写伝票についてご紹介してみました。一般にフォーム印刷や伝票印刷と呼ばれる分野なのですが、年々対応出来るところが減っているようです。
当社は印刷→ナンバー入れ→製本まで、一貫して行えますので、お困りの方はぜひお声がけください。